普通2台ピアノの曲は平行あるいは向かい合わせにして2人で弾きますが、今回は写真のような角度で配置して、両方の鍵盤を一人で弾きました。
弾いたのはこの曲。
George Friedrich Haas作曲「リゲティへのオマージュ」。
少しずつ変化していく和音を20分間ひたすら連打し続ける、なかなかハードな曲です。
手のポジションに合わせて座る位置を移動しなければいけないので、学校の事務室からキャスターのついた椅子を借りて演奏しました。
この曲、よく聞くと何だか歪んだ響きがしませんか?実は、右側のピアノが敢えて1/4音低く調弦されています。2台のピアノで同じ音を弾いても、微妙にずれて聞こえるよう効果を狙っているのですね。
作曲家によると、自分と奥様それぞれのピアノが同じ部屋に並べておいてあったそうですが、この調弦のアイディアを奥様に話したところ、「いいわよ、でも調弦を施すのはあなた自身のピアノにしてよね」言われたそう。それで自分のピアノが右においてあったので、右手側のピアノを調弦することになったとのことです。
特殊な調弦は場合によって楽器に負担になることがあるので、普通の演奏会場ではなかなか許可が出ないこともあります。この曲を演奏したのは学校のホールでしたが、使用して良い楽器がきちんと決められていました。こういった曲の演奏は会場の理解もないと成り立たないので、貴重な体験をさせていただいたのだと改めて実感しました。